A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 |
<定義> |
レンサ球菌のうち、Lancefieldの血清型分類のA群に 分類されるものによる上気道感染症である。 |
<臨床的特徴> |
乳幼児では咽頭炎、年長児や成人では扁桃炎が現れ、発赤毒素に免疫のない 人は猩紅熱といわれる全身症状を呈する。気管支炎を起こすこともも多い。 リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの二次疾患を起こすこともある。 |
<報告のための基準> |
● 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が 疑われ、かつ、以下3つの基準を全て満たすもの |
1.発熱 2.咽頭痛、咽頭発赤および頚部リンパ節炎(発疹を伴うこともある) 3.苺舌 |
● 上記の基準は必ずしも満たされないが、診断した医師の判断により、症状や所見から 当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの |
急性脳炎(日本脳炎を除く) |
<定義> |
種々のウイルスなどの感染による脳実質の感染症である。しかし、まだその原因が明ら かにされていないところから、炎症所見が明らかではないが同様の症状を呈する脳症もこ こには含まれる。 |
<臨床的特徴> |
多くは何らかの先行感染を伴い、高熱に続き意識障害やけいれんが突然現れ持続する。 髄液細胞数が増加しているものを急性脳炎、正常であるものを急性脳症と判断することが 多いが、その臨床症状に差はない。 |
<報告のための基準> |
● 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の3つの基準を全て満たすもの |
・発熱 ・突然の意識障害 ・以下の疾患の鑑別診断 ・熱性けいれんや代謝性疾患、脳血管性疾患、脳腫瘍、外傷など (炎症所見が明らかでないが同様の症状を呈する脳症も含まれる) |
また、原因となった病原体の検索が望ましく、判明した場合にはその名称についても 併せて報告すること。 |
● 上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から 当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断された もの |
細菌性髄膜炎 |
<定義> |
種々の細菌感染による髄膜の感染症である。 |
<臨床的特徴> |
発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする。項部硬直、Kerning徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状が 見られることがあるが、新生児や乳児などではこれらの臨床症状が明らかではないことが多い。 |
<報告のための基準> |
● 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2つの基準を全て満たすもの |
1.以下の臨床症状を呈するもの |
・発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする ・項部硬直、Kerning徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状 (いずれも新生児や乳児などでは臨床症状が明らかではないことが多い) |
2.以下の検査所見を有すること |
・髄液細胞数の増加(多核球優位であることが多い) ・髄液蛋白量の増加 |
● 上記の基準は必ずしも満たされないが、診断した医師の判断により、症状や所見から 当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの |
<備考> |
・原因となる病原体が病原体診断や血清学的診断によって判明した場合には、病原体の 名称についても併せて報告すること |
無菌性髄膜炎 |
<定義> |
種々のウィルス感染による髄膜の感染症である。 |
<臨床的特徴> |
発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とすが、新生児や乳児などではこれらの臨床症状が明らかではないことが多い。 項部硬直、Kerning徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状が見られることがあるが、同じく新生児や乳児などではこれらの臨床症状が明らかではないことも多い。 |
<報告のための基準> |
● 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2つの基準を全て満たすもの |
1.以下の臨床症状を呈するもの |
・発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする ・項部硬直、Kerning徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状 (いずれも新生児や乳児などでは臨床症状が明らかではないことが多い) |
2.以下の検査所見を有すること |
・髄液細胞数の増加(多核球優位であることが多い)かつ、髄液蛋白量、糖量が正常であるもの。 |
● 上記の基準は必ずしも満たされないが、診断した医師の判断により、症状や所見から 当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの |
<備考> |
・原因となる病原体が病原体診断や血清学的診断によって判明した場合には、病原体の 名称についても併せて報告すること |
アイコプラズマ肺炎 |
<定義> |
Mycoplasma pneumoniseの感染によって発症する肺炎である。 |
<臨床的特徴> |
好発年齢は6〜12歳の小児であり、小児では発生頻度の高い感染症の一つである。潜伏期は2〜3週間とされ、 飛沫で感染する。異型肺炎像を呈することが多い。頑固な咳嗽と発熱を主症状に発病し、中耳炎、胸膜炎、 心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されている。 |
<報告のための基準> |
● 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって 病原体診断や血清学的診断がなされたもの |
・病原体の検出 例、気道から病原体が検出されたものなど |
・病原体に対する抗体の検出 例、血清抗体の以上高値(間接血球擬集反応(IHA)抗体価320〜640倍以上、 または、補体結合反応(CF)抗体価64倍以上)など |
クラミジア肺炎(オウム病を除く) |
<定義> |
Chlamydia trachomatis,Chlamydia pneumoniseの感染による肺炎である。 |
<臨床的特徴> |
いずれも発熱に乏しい下気道感染症である。Chlamydia trachomatisは新生児乳児に多く主に産道汚染で 間質性肺炎像を呈することが多く、C.pneumoniseは飛沫感染により異型肺炎像に呈することが多い。 |
<報告のための基準> |
● 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの |
・病原体の検出 例、気道から病原体(C.trachomatisまたはC.pneumonise)の検出など |
・病原体に対する抗体の検出 例、血清抗体の有意な上昇など |
・病原体の抗原の検出 例、蛍光抗体法、酵素抗体法など なお、原因となる病原体の名称についても併せて報告すること |
成人麻疹 |
<定義> |
18歳以上の成人に見られる急性麻疹ウィルス感染症である。 |
<臨床的特徴> |
小児の麻疹と同様で、発熱、カタル症状、咳嗽、コプリック班、色素沈着を残す発疹が特徴である。 |
<報告のための基準> |
● 18歳以上の成人であって、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの |
・病原体の検出 例、麻疹ウィルスの分離・同定など |
・病原体遺伝子の検出 例、咽頭ぬぐい液、血液からのPCR法による検出など |
・病原体に対する抗体の検出 例、血清抗体の有意な上昇など |
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