予防接種の対象となる病気と予防接種による副反応

予防接種と聞くと副反応が心配と消極的になっておられる方もいるようですが、 はじめにも書きましたが、その病気にかかった場合と比較してよく考えてみてください。 現在日本で使用しているワクチンは、世界の中でも優秀なもので、副反応の頻度も少ないものです。 しかし人間の体の性質は一人一人違いますから、副反応の出る人もできます。
程度はいろいろですが、大切なことはお子さまの体のことがよくわかったかかりつけの先生に、 体調をよく診ていただき、接種をしていただくのがいちばん良いと思います。 地域によっては集団接種のところもありますが、その場合には接種会場で診察される先生によく相談して、 納得してお子さまのため、予防接種を受けましょう。

ポリオ
(急性灰白髄炎)
ポリオワクチン
(経口生ワクチン)
ジフテリア
百日せき
破傷風
DPT三種混合
(ジフテリア・百日せき・破傷風)
ワクチン
(不活化ワクチンとトキソイドの混合)
DT二種混合
(ジフテリア・破傷風)
トキソイド
麻しん(はしか)
麻しん (はしか)
ワクチン (弱毒生ワクチン)
風しん
風しん (三日ばしか)
ワクチン (弱毒生ワクチン)
日本脳炎
日本脳炎ワクチン
(不活化ワクチン)
結核
ツベルクリン反応・BCG


clip ポリオ(急性灰白髄炎)
「小児マヒ」と呼ばれ、わが国でも30年前までは流行を繰り返していましたが、 予防接種の効果で現在は国内での自然感染は報告されていません。しかし、現在でも東南アジアや 中国、インドなどではポリオの流行がありますから、これらの地域で日本人がポリオに感染したり、 日本にポリオウイルスが入ってくる可能性があります。予防のためにワクチンを飲んで免疫を つけておきましょう。
ポリオウイルスはヒトからヒトへ感染します。感染した人の便中に排泄 されたウイルスが口からはいり咽頭または腸に感染します。感染したウイルスは3〜35日(平均7〜 14)腸の中で増えます。しかし、ほとんどの例は不顕性感染で終生免疫を獲得します。 症状が出る場合、ウイルスが血液を介して脳、脊髄へ感染し、麻痺をおこすことがあります。 ポリオウイルスが感染すると100人中5〜10人は、カゼ様の症状を呈し、発熱を認め、続いて頭痛、 嘔吐(おうと)があらわれ麻痺が出現します。一部の人は永久に残ります。呼吸困難により 死亡することもあります。
感染の合併症として麻痺の発生率は1,000〜2,000人に1人ですが、麻痺患者が1人発生したときには、 その周りに100人以上の感染者がいるといわれています。
・不顕性感染(ふけんせいかんせん)
ウイルスや殺菌が感染して体の中で増えますが、病気としての症状が出ず、知らない間に免疫だけが できるような感染の仕方をいいます。病気になりませんから都合のよい状態ですが、本人にも かかったのか、かからなかったのかわかりません。


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clip ポリオワクチン(経口生ワクチン)
I、II、III型の3つタイプのポリオワクチンウイルスが混ざっています。 飲むことによりそれぞれがつきます。しかし1つか2つの型だけの免疫しかつかないこともありますので、 2回飲むことが決められています。 それによって前回つかなかった型に対して免疫ができて予防体制ができ上がります。 ひどい下痢をしているとウイルスがつきにくいので、注意しましょう。
[副反応]
ワクチンウイルスは弱毒化されており安全なワクチンですが、服用後体内で増えますので、50万人 以上の投与に1人程度の極めてまれな頻度ですが、ウイルスが脳脊髄に達して麻痺を生ずることが あります。
またワクチン投与を受けた人からは15〜37日間(平均26日間)にわたって ウイルスが便中に排泄されます。 このウイルスがワクチンを受けていない子に感染して、麻痺をきたすことがあります。 その頻度は一定していませんが1年に1〜2人程度でまれなものです。


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clip ジフテリア
ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。
1981年にDPTワクチンが導入された現在では患者発生数は年間10名未満ですが、ジフテリアは感染 しても10%程度の人が症状が出るだけで、残りの人は不顕性感染のため、保菌者となり、その人を 通じて感染することのあることがよく知られています。
感染は主に咽頭ですが、鼻にも感染します。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様の咳、嘔吐(おうと) などで、偽膜を形成して窒息死することがある恐ろしい病気です。発病2〜3週間後には菌の出す 毒素によって心筋障害や神経麻痺をおこすことがありますので、注意が必要です。最近ではロシアで 流行がありました。予防接種を続けていかないと日本でも再び流行する可能性があります。


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clip 百日せき
百日せき菌の飛沫感染で起こります。
1956年から百日せきワクチンの接種がはじまって以来、患者数は減少してきています。 当時は菌体の入ったワクチンでしたが、現在では副反応の少ない新型の精製ワクチンを使っています。
百日せきは普通のカゼのような症状ではじまります。続いてせきがひどくなり、顔を 真っ赤にして連続性にせき込むようになります。せきのあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような 音がします。熱は出ません。乳幼児は咳で呼吸ができず、チアノーゼやけいれんがおきることが あります。肺炎や脳症などの重い合併症をおこします。乳児では命を落とすこともあります。
1970年代後半に予防接種率が低下した際、百日せき患者が多数出て、113名の死者を出しました。 このようなことを繰り返さないためにもぜひ予防接種を受けましょう。
・飛沫感染(ひまつかんせん)
ウイルスや細菌がせきやくしゃみなどで細かい唾液とともに空気中へ飛び出し、空中を飛んでいって 人に感染する方式です。


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clip 破傷風
破傷風菌はヒトからヒトへ感染するのではなく、土の中にひそんでいて、傷口からヒトへ感染 します。傷口から菌が入り体の中で増えますと、菌の出す毒素のために、口が開かなくなったり、 けいれんをおこしたり、死亡することもあります。患者の半数は自分では気がつかない程度の 軽い傷が原因です。日本中どこでも土中に菌はいますので、感染する機会は常にあります。 またお母さんが免疫をもっていれば新生児の破傷風もふせげますので、ぜひ予防接種を 受けておきましょう。


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clip DPT三種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風) ワクチン(不活化ワクチンとトキソイドの混合)
I期として初回接種3回、その後半年以上たってから追加接種を1回行います。まお、追加接種は、 初回接種3回終了後1年から1年半までに受けるようにしましょう。また、U期として11・12歳時 (通常6年生)に二種混合(DT)で追加接種を1回します。
回数が多いので、接種もれに注意しましょう。
確実な免疫をつくるには、決められたとおりに受けることが大切ですが、万一間隔があいてしまった 場合でも、はじめからやり直すことはせず、規定の回数を越えないように接種します。かかりつけの 先生に相談しましょう。
[副反応]
1981年に百日せきワクチンが改良されて新しい精製不活化ワクチンに変わって以来、日本のワクチン は副反応の少ない安全なワクチンになっています。現在の副反応は注射部位の発赤、腫脹、硬結 (しこり)などの局所反応が主です。頻度は程度の差はありますが、初回接種1回目のあと、 100人中20人近い人に、3回目のあとでは100人中40〜50人くらいの人にみられます。 多いように思えますが、これは免疫がついているから起こる現象です。直径5cmを超える目立った 局所反応の出現率はすべてを通じて100人中9〜10人です。なお、硬結(しこり)は少しずつ小さく なりますが、数ヶ月残ることがあります。特に過敏な子で肘をこえて上腕全体が腫れた例が少数 ありますが、これも湿布などで軽快しています。 通常高熱はでませんが、24時間以内に37.5℃以上になった子が3〜4%あります。以上のように 重篤な反応はありませんが、機嫌が悪くなったり、腫れが目立つときなどは医師に連絡して ご相談ください。


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clip DT二種混合(ジフテリア・破傷風) トキソイド
三種混合ワクチンの接種を受ける前に百日せきにかかってしまった人は、二種混合ワクチンを 使用します。接種方法はT期の初回接種は通常、沈降ジフテリア破傷風混合ワクチンを使いますので 2回の接種です。追加接種は12〜18月後に1回行います。


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clip 麻しん(はしか)
麻しんウイルスの飛沫感染によって起こる病気です。伝染力が強く、一生のうちに一度は必ず かかる重い病気です。発熱、せき、鼻汁、めやに、発しんを主症状とします。最初3〜4日間は 38℃前後の熱で、一時おさまりかけたかと思うとまた39〜40℃の高熱と発しんが出てきます。 高熱は3〜4日で解熱し、次第に発しんも消失します。しばらく色素沈着が残ります。 主な合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎があります。患者100人中、中耳炎は7〜9人、 肺炎は1〜6人に合併します。脳炎は2,000〜3,000人に1人の割合で発生がみられます。 また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という慢性に経過する脳炎は約10万例に1例発生します。 また麻しん(はしか)にかかった人10,000人に1人の割合で死亡します。 予防接種では、これらの重い合併症はほとんどみられません。ぜひ予防接種を受けましょう。


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clip 麻しん(はしか)ワクチン(弱毒生ワクチン)
1歳から2歳の間にかかる子が多くなっています。1歳になったら半年以内に受けるように努めましょう。 遅くなった場合でも保育園、幼稚園などの集団生活に入るまでには、必ず受けておきましょう。 1歳前に保育園に入園させる場合には、10ヶ月頃に麻しん(はしか)ワクチンを任意で受けることを おすすめします。その場合お母さんからの免疫の影響でつきが悪い子もありますので、 定期接種と同じ時に、もう一度受けなおしてください。 ガンマグロブリンの注射を受けたことのある人は3ヶ月から6ヶ月たってから麻しんの予防接種を 受けてください。(ガンマグロブリンは、血液製剤の一種でA型肝炎等の予防目的や重症の感染症 の治療目的などで注射することがあります)
[副反応]
このワクチンは弱毒性ワクチンですからウイルスが増えるため、接種して1週間後から発熱や発しん など、軽い麻しん(はしか)に似た症状が約20%の人に出ます。通常は1〜2日で消失します。 またまれに熱性けいれんが起こります。またごくまれ(100万人に1人程度)に脳炎の発生も報告 されています。


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clip 風しん
風しんウイルスの飛沫感染によっておこる病気です。潜伏期間は2〜3週間です。軽いカゼ症状で はじまり、発しん、発熱、後頸部リンパ筋腫脹などが主症状です。そのほか眼球結膜の充血も みられます。発しんも熱も約3日間でなおりますので「三日ばしか」とも呼ばれています。 合併症として、関節痛、血小板減少性紫斑病、脳炎などが報告されています。 血小板減少性紫斑病は患者3,000人に1人、脳炎は患者6,000人に1人くらいです。年長児や大人に なってからかかると一般に重症になりやすく、3日ではなおらないことが多いです。 妊婦が妊娠早期にかかりますと、先天性風しん症候群と呼ばれる児(心奇形、白内障、聴力障害 など)が生まれる可能性が高くなりますから、妊娠前に予防接種を受けておくことが大切です。


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clip 風しん(三日ばしか)ワクチン(弱毒生ワクチン)
2〜3歳になると、かかる人が急に増えますので、3歳までに受けるようにしましょう。男の子も 女の子も受けることになります。保育園や幼稚園に行く人は、麻しん(はしか)に続いて入園の 前にすませましょう。お母さんが次の子どもを妊娠中であっても、お子さんは受けられます。 また、今まで中学生の女子のみに接種をしていましたが、これからは中学生の男女とも接種が できます。まだかかっていない人は受けておきましょう。
[副反応]
風しんワクチンも弱毒性ワクチンですから、麻しん(はしか)と同じようにウイルスが体内で 増えます。軽い発熱、発しん、リンパ節腫脹などがみられますが、接種を受けた者100人中4人以下です。 成人女性は一過性の関節痛が接種を受けた者100人中6人程度にみられます。ワクチン接種後1〜2週間 に接種者の咽頭からワクチンウイルスの排泄が認められることがありますが、まわりの人には うつらないといわれています。
・潜伏期間
ウイルスが体に感染した後は、体内で少しずつ増殖し、ある日突然、症状を出します。感染してから 症状が出るまでの期間をいいます。


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clip 日本脳炎
日本脳炎ウイルスの感染でおこります。ヒトから直接ではなくブタの中で増えたウイルスが蚊(カ) によって媒介されます。7〜10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐(おうと)、意識障害、 けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。
流行は西日本地域が中心になりますが、ウイルスは 北海道など一部を除く日本全体に分布しています。この地域で飼育されているブタでの流行は毎年 6月からはじまり10月まで続きますが、この間に80%以上のブタが感染しています。好発年齢は60歳 を中心とした成人と5歳未満の幼児です。以前には小児、学童に好発していましたが、予防接種の 普及で減っているものと思われます。感染者のうち1,000〜5,000人に1人が脳炎を発症します。 脳炎のほか無菌性髄膜炎や夏カゼ様の症状で終わる人もあります。脳炎にかかった時の死亡率は 約15%ですが、神経の後遺症を残す人が約50%あります。ぜひ予防接種を受けておきましょう。


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clip 日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)
北海道を除く日本全国には日本脳炎ウイルスに感染したブタとウイルスを運ぶ蚊(カ)がたくさん います。3歳を過ぎたら受けましょう。
図
[副反応]
日本脳炎ウイルスを殺し(不活化)、精製したものです。副反応としては2日以内に37.5℃以上の 発熱が接種を受けた者100人中1人以下にみられています。注射局所の発赤、腫脹も接種を受けた者 100人中1〜3人以下です。発しんや圧痛もまれにみられます。


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clip 結核
わが国の結核はかなり減少しましたが、まだ4万人を超える患者が毎年発生しており、大人から 子どもへ感染することも少なくありません。また結核に対する抵抗力はお母さんからもらうことが できませんので、生まれたばかりの赤ちゃんもかかる心配があります。乳幼児は結核に対する 抵抗力が弱いので、全身性の結核症にかかったり、結核性髄膜炎になることもあり、重い後遺症 を残すことになります。
過去に結核にかかったかどうかは、ツベルクリン反応で検査をし、 陰性(かかったことのない場合)の時はBCG接種を受けましょう。 これで結核性髄膜炎などは80%、肺結核も50%は予防できるのです。


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clip ツベルクリン反応
ツベルクリン反応検査をまず行い、48時間後に判定して陰性の人(長径9mm以下)にBCGの接種を 行います。BCGの接種方法は管針法といってスタンプ方式で上腕の2ヶ所に押しつけて接種します。 接種したところは、日陰で乾燥させてください。10分程度で乾きます。
[副反応]
BCGは牛型結核菌を弱めた生ワクチンです。接種後2〜3週間で接種局所に赤いポツポツができ一部に 小さくうみをもったりします。約4週間でかさぶたができてなおります。これは異常反応ではなく、 BCGがついた証拠です。包帯をしたり、バンソウコウをはったりしないで、そのまま普通に清潔を 保ってください。自然になおります。
副反応としては接種をした側のわきの下のリンパ節が まれに腫れることがあります。通常放置して様子をみてかまいませんが、特にただれたり、大変 大きく腫れたり、まれに化膿して自然にやぶれてうみが出ることがあります。 その場合には医師に診てもらってください。


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